茨城県で探偵業者が逮捕された件を例に、正しい調査行為と違法な調査の違いを解説致します。

探偵への調査依頼の違法性

探偵業者が違法調査で逮捕された事件のあらまし

2021年7月28日、茨城県警つくば署と県警人身安全対策課は、ストーカー規制法違反の疑いでつくば市内の探偵業の男性(44)を逮捕しました。
知人女性の外出先でストーカー行為をしたことが、主な逮捕理由となっているようです。

細かい経緯と致しましては、その約1か月前に被害女性は警察に対し、この男性からつきまとい被害を受けていることを相談しており、それを受けてつくば署は男性に対して接近禁止命令を出していました。
にも拘わらず7月26日、相手女性の外出先にて女性を見張ったりうろついたりした疑いを持たれ、逮捕となりました。

なぜ探偵が逮捕されるのか。多くの方の誤解につながる部分について。

まず、この茨城県の件については、この一連の行為が事実として行われていたのであれば、疑う余地もなく違法行為です。
逮捕されて当然のつきまとい行為となります。

ただし、この報道に対しての一般の方のコメントなどを拝見致しますと、残念ですが多くの方が「探偵の仕組み」について誤解をされているようにお見受けいたします。
例えば「探偵の調査というのは実は違法。今回の逮捕でそれが明らかになった」という、残念ですが大きな誤解のあるご意見も見られます。

なぜ探偵の調査は成り立つのか何が違法で何が合法なのか、という部分に絞り、解説をさせていただきます。

逮捕されてしまう違法なケースとは?

まず、大きな仕訳として、一般の方が行う張り込み・尾行などを用いた調査行為というのは、基本的にすべて違法と断じることができます。
なぜなら探偵業者ではないからです。
仮にご自身が何らかの犯罪行為の被害を受けており、犯人の目星やその犯行の証拠を得るために行っていた待ち伏せ行為・付きまとい行為であったとしても、それを合法だと主張することができる法規はありません。
違法だとされてしまう法規であれば存在します。それが、いわゆるストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律:平成十二年法律第八十一号)となります。

ストーカー規制法は数度改正されており、2021年5月にも3度目の改正がありました。
その内容については「改正ストーカー法成立による、探偵・別れさせ屋のGPS違法利用の線引きについて」でご説明しております。
その法を、改正内容を含めて解釈しますと、「相手が現に所在している場所(自宅以外にも、勤務先や、移動のため通過するルートも含む)への探偵業者以外の者による待ち伏せ行為はストーカー判定される」というものとなります。

合法的に行える調査とは?

ではその逆に当たる、合法的な調査とは何なのでしょう。
この部分に関して、誤解している方が非常に多いとお感じします。

まず申しますと、合法的に行える調査は、下記の要項をすべて満たすケースです。

  1. 調査を行う者が、探偵業者として公安委員会に届け出を出し、受理されていること
  2. 調査を行う者が、自分自身の恋愛感情やその他欲求を満たすためでなく、第三者からの調査依頼を受けていること
  3. その際、「探偵業の業務の適正化に関する法律」に定義されている必要書類三点(契約書・重要事項説明書・依頼者からの誓約書)を依頼者に交付し、署名を受けていること
  4. 現場で調査に従事する者が、その探偵業者の調査員として登録されていること

主に上記の4点が、調査行為を合法的に行う際に満たしていなくてはいけない事項です。

ポイントは、4つすべてが満たされていないと違法ということです。

冒頭に挙げた茨城県の件は、主に「2」及び「3」を満たしていないであろうと、外部から推測することができます。
本件は自分の恋愛感情を満たすためのプライベートとしての調査行為(調査行為と言うより犯罪行為ですが)であり、そこで行われた調査には依頼者も必要書類も存在していないでしょう。
自分で自分に依頼することはできません。
そのため、この件は擁護する点が無く違法となります。

〔プラスα解説〕では第三者の探偵に依頼をすれば問題はなかったのでしょうか?

ここまでお読みいただいた方からすると、「ではこの茨城の探偵業者の男は、自分で相手女性のことを調査するのではなく、他の探偵社にお金を払って調査依頼をしていれば逮捕されなかったのか?」という疑問をお持ちのケースもあるかもしれません。

本件は既に接近禁止命令が出ており、そのためややデリケートな問題になっていますが、基本的にその状態でご依頼を受ける探偵社はかなり少ないでしょう。
弊社も例に漏れず、ご依頼者様と対象者の間に接近禁止命令が出ている状態のご相談やご依頼はお断りしております。

ではもし接近禁止命令が出ていなかったら。
それは、調査を依頼すること自体は合法です。

ただし、実際この報道のように、自分自身で付きまとい行為をしてしまうほどに強い執着心を持っているようですので、後々、他の探偵社に依頼をして得た情報を使って自身でストーカー行為やそれに準じる行動を取ることは予想され、そうなったら逮捕理由になってしまいます。

先ほど、「探偵業の業務の適正化に関する法律に定義されている必要書類三点」と出てきましたが、その中の誓約書とは「調査依頼をしたことによって得た情報を用いて、ストーカー行為やその他犯罪行為に及ばない」ということを、ご依頼者様が依頼先の探偵社に誓約していただくものです。

そういった誓約を受けることは、各探偵社が自主規制的に行っているわけではなく、先ほどの「探偵業の業務の適正化に関する法律」に定義されているため、弊社含め探偵社は義務として行っています。

そのため、改めてですが、既に対象者との間に接近禁止命令が出されていたり、調査によって得た情報を個人的に悪用をしないことをお約束していただけない場合は、弊社ではご依頼をお受けすることができませんので、恐れ入りますがご了承ください。

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